パートナーと築く資産

LGBTQ+カップルと相続税・贈与税:パートナーへの資産移転を円滑にする知識と対策

Tags: 相続税, 贈与税, LGBTQ+, 資産移転, 税金対策

はじめに:パートナーへの資産移転と税金

パートナーと将来を共に歩む上で、お二人の間で資産をどのように形成し、もしもの時にスムーズに引き継ぐかという点は、避けて通れない大切なテーマです。特に、相続や贈与といった資産移転には、税金が関わってきます。相続税や贈与税と聞くと難しく感じられるかもしれませんが、基本的な知識を持つことは、パートナーへ安心して資産を託すための第一歩となります。

本記事では、LGBTQ+カップルが資産をパートナーへ移転する際に考慮すべき相続税・贈与税について、その基本的な仕組みから、LGBTQ+カップルが直面しうる固有の課題、そして具体的な対策や専門家への相談方法までを分かりやすく解説します。

相続税・贈与税の基本的な仕組み

まず、相続税と贈与税の基本的な仕組みについて理解しましょう。

相続税とは

相続税は、人が亡くなったときに、その亡くなった方(被相続人)から財産を受け継いだ方(相続人や受遺者)に課される税金です。

贈与税とは

贈与税は、生きている人から財産をもらったときに、もらった人(受贈者)に課される税金です。

LGBTQ+カップルが相続税・贈与税で直面しうる課題

異性間の法律婚をした夫婦であれば、相続において配偶者は常に法定相続人となり、大きな税制上の優遇措置があります(例:配偶者の税額軽減)。しかし、現行法上、同性カップルは法律婚が認められていないため、以下のような固有の課題に直面する可能性があります。

これらの課題は、単に税金の問題だけでなく、パートナーへ安心して財産を引き継ぎたいという願いを実現する上で、具体的な対策を講じることの重要性を示しています。

LGBTQ+カップルのための相続税・贈与税対策

税負担を軽減し、パートナーへの円滑な資産移転を実現するために、いくつかの対策を検討することができます。

1. 遺言書の作成

最も基本的な対策の一つです。遺言書を作成することで、法定相続人ではないパートナーにも財産を遺すことができます。

2. 生前贈与の活用

パートナーへ少しずつ財産を贈与していく方法です。

3. 養子縁組

パートナーとの間で養子縁組を行うことで、パートナーは法律上の親子となり、相続において法定相続人となります。

4. 生命保険の活用

生命保険は、受取人を指定することで、遺言や相続手続きを経ずに、スムーズにパートナーへ死亡保険金を渡すことができる有効な手段です。

5. その他の制度

専門家への相談を検討する

相続税・贈与税に関する知識は複雑であり、個々の状況によって最適な対策は異なります。また、法制度や税制は改正される可能性もあります。そのため、専門家への相談は非常に重要です。

まとめ:安心してパートナーへ資産を託すために

LGBTQ+カップルがパートナーへ財産を円滑に引き継ぐ上で、相続税・贈与税は無視できない要素です。法律上の制限がある中で、遺言、生前贈与、養子縁組、生命保険の活用など、様々な対策を組み合わせることで、パートナーへの税負担を軽減し、意図した通りの資産移転を実現することが可能になります。

税金の話は難しく感じられるかもしれませんが、パートナーとの将来のために、ぜひお二人で話し合い、必要な知識を得て、具体的な行動を始めてください。この記事が、その一助となれば幸いです。疑問や不安がある場合は、迷わず専門家に相談し、安心して将来への準備を進めていきましょう。