パートナーと築く資産

LGBTQ+カップルが安心して金銭のやり取りをするために:共同出資や貸し借りの契約の重要性と作成ポイント

Tags: 金銭契約, 共同出資, 貸し借り, 法的文書, 公正証書

パートナーとの生活を共に歩む中で、金銭のやり取りは避けて通れないことの一つです。生活費の分担、大きな買い物への共同出資、あるいは一時的な貸し借りなど、様々な場面で金銭が関係します。多くのLGBTQ+カップルにとって、法的な関係性の安定が十分でない現状では、こうした金銭に関する取り決めを曖昧にしたままにしておくと、将来予期せぬトラブルに発展するリスクもゼロではありません。

金銭に関する取り決めを明確にする必要性

パートナーとの信頼関係は非常に重要ですが、それが金銭関係の曖昧さを許容する理由にはなりません。むしろ、金銭に関する取り決めを明確にしておくことは、お互いの信頼関係を守り、将来にわたって安心して生活を続けるために不可欠です。

パートナーシップ制度を利用している場合でも、自治体によってその法的な効力は異なり、婚姻のような「夫婦間の協力扶助義務」や「財産分与」に関する明確な法的裏付けがない場合が少なくありません。そのため、万が一関係が変化した場合や、パートナーが亡くなった場合に、金銭的な精算や権利関係が不明確になり、大きな負担やトラブルに繋がる可能性があります。

金銭に関する取り決めを契約として書面化することは、お互いの意思を確認し、共通の認識を持つための有効な手段です。これにより、将来の不安を軽減し、安心してパートナーとの関係を維持していくための土台を築くことができます。

どのような金銭関係で契約を検討すべきか

パートナーシップにおいて、契約による明確化を検討すべき主な金銭関係には以下のようなものが考えられます。

これらの金銭関係は、将来の生活設計や資産形成に直接関わるため、関係が良好なうちにお互いの意思を確認し、合意内容を書面に残しておくことが非常に重要です。

金銭契約書に含めるべき主な内容

金銭に関する契約書(合意書や覚書といった名称でも構いません)を作成する際には、以下の要素を含めることが望ましいでしょう。

これらの項目を具体的に、曖昧さがないように記載することが、契約書としての有効性と実効性を高める上で重要です。

金銭契約書作成のポイント

契約書を作成する上で、さらに考慮すべきポイントがあります。

まとめ

パートナーシップにおける金銭の取り決めを明確にすることは、単なる形式的な手続きではなく、お互いを尊重し、安心して将来を共に歩むための重要なステップです。金銭に関する契約書を作成することで、予期せぬ事態が発生した場合でも、冷静かつ円滑に対処できる可能性が高まります。

この記事で紹介した内容は一般的なものですが、個々のカップルの状況や取り決める金銭関係の内容によって、契約書に記載すべき事項や形式は異なります。お二人の関係と将来についてしっかりと話し合い、必要に応じて専門家の助言を得ながら、安心できる金銭関係を築いていってください。これにより、パートナーとの絆をさらに強くし、明るい未来を共に描くことができるでしょう。